追跡ネットワーク技術センターはJAXAの中でも非常に古い歴史を持つ部署です。衛星や探査機を用いた宇宙利用にはこれら宇宙機とのコミュニケーションが重要であり、宇宙への挑戦が始まった時代から必要不可欠だったからです。このように地上と宇宙をつなぐ大型アンテナが設置された宇宙通信所等は宇宙利用を進めるうえで大変重要な拠点です。また宇宙開発技術や追跡ネットワーク技術は日進月歩であり、それに対応しうる柔軟かつ合理的な拠点運用を図っていきたいと考えています。
多様なリソースのすべてを機能させる
追跡ネットワーク技術センターは、JAXAの衛星や探査機などと通信して管制を行いつつ、海外の宇宙機関と連携しての追跡ネットワークの確立、通信品質向上へ向けた研究開発などといった、広範で多彩な業務に取り組んでいます。その中で地上と宇宙をつなぐ大型アンテナを含んだ地上局・・・通信所と呼んでおりますが、この通信所等の運用・設備維持を行うのが運用管理課です。
たとえばアンテナのある通信所には、各設備を動かすための電力棟や安全面等を担保するためのさまざまな施設設備が広い敷地の中に点在しています。これらのリソースを通信所として機能するように点検保守や調整修理などのメンテナンス、維持などを行っています。
つながってあたりまえの時代に感じる責任の重さ
私は増田・勝浦・沖縄の3つの通信所所長と兼任の形で運用管理課課長として2025年9月に就任しました。四半世紀以上にわたりさまざまな宇宙事業部署を経験してきましたが、実は追跡ネットワーク技術センターは初めてであり、その意味では初心忘るべからず、新鮮な気持ちで業務にあたっています。
前述のとおり人工衛星や探査機運用に地上大型アンテナは不可欠であり、特に衛星データが社会インフラとして国民生活に必要不可欠の存在となっている近年、地上アンテナを擁する通信所等を正常運用する大きな責任を感じています。勿論、責任とやりがいは車の両輪ですので、大きなやりがいをもって目の前の責務に取り組んでいきたいと思います。
多種多様の連携協力体制をどう高めていくか
先に述べたように、追跡ネットワーク技術センターの業務は非常に多岐の領域に渡っています。宇宙機との通信に直接かかわる仕事以外にも設備保守、情報セキュリティや法務など、他のチームとも協力しながらの業務があります。JAXA内部だけでなく外部組織等との連携もきわめて重要です。特に通信所には必ずしも常時JAXAのスタッフがいるとは限りませんので、運用を受託していただいている企業やそのスタッフとの信頼関係は重要ですし、各地上局がある地域の自治体等との関係もきわめて大切という認識です。
このような多種多様な方々との連携協力体制がないと私たちの仕事は成り立ちません。したがって皆様とより良い信頼関係づくりは最優先課題であり、その構築を進めることが私の大事な業務のひとつであると考えています。
きわめてアグレッシブな職場
当部署への異動前は、追跡ネットワーク技術センターはその長い歴史から、がっちりとした体制・方法論や職場文化を持ついわゆる“堅い”職場なのだろうという漠然としたイメージを抱いていました。しかしいざ一員になってみると、各職員は非常に活発で、進取の気性に富んだ活気にあふれた部署だと180度印象が変わりました。「新たな発見」と言ってもよいくらいです。
たとえばセンター内部では、職務のグループなどといったチーム同士の壁が非常に低くて、別チームとの間でも意見交換したり仕事の提案を日常的に行っています。所属チームに関わらず、若手メンバーからベテラン層まで遠慮せずに自身の考えを提案しあう・・・そんな、きわめてアグレッシブな職場と感じています。
「聞く」からの職場コミュニケーション
そんな職場だからこそ、ではありますが、運用管理課にもいろいろなご意見を頂く機会があります。運用管理課は非常にスリムな組織であるため、追跡ネットワーク技術センターの業務範囲を見渡すのには苦労します。そこで心がけているもうひとつのポイントが「先ずは話を伺う」ことです。声をかけて相談してもらえることはとても幸せなことだと思います。そういったご意見をしっかり伺ったうえでどうすれば実現できるかに向けて私の考えもお伝えすることで、「お互いの考え方がつながる」ことがとても大事だと思っています。もちろん、聞くコミュニケーションはどの部署でも大事なことではありますが、活発さがある追跡の文化にはぴったりの方法だと考えています。
先ずは「伺う」を心がけ、ベテランスタッフにも学ばせていただいて、追跡ネットワーク技術センターの中で横のつながりを強める施策を進めていきたいと思います。
事業を多くの人に伝える
同時に、私たちの活動内容などの社外への発信も、これまで以上に進めていきたいと考えます。宇宙開発事業を推進しているJAXAには、発信する責任があると思いますし、できて当たり前のいわゆる“縁の下の力持ち”的とも思われがちな追跡事業内容をうまく伝えていくことを命題のひとつとしたいですね。
幸いにして、追跡には増田・勝浦・沖縄の3宇宙通信所があり、来訪された方々に宇宙開発最前線を体感いただけるよう展示施設を設置運営しています。こういった追跡資産も活用して…もちろん地理的には離れていますが、私たちの事業をより多くの人に伝える方法を模索して、将来的な広報ビジョン構築に関わっていきたいと思っています。各通信所の一般特別公開に多くの方々に来てきただき、特に子供たちの好奇心に満ちた瞳と純粋な笑顔を見て、この仕事をやっていて良かったと心から感じるのも事実です。追跡事業をより多くの方々に伝えていくうえで、そういった場で感じたことも大事にしていきたいと考えています。
とにかく後押しするという風土
いま、将来のキャリア選択でJAXAを、あるいは宇宙関連の仕事を考えている方も少なくないと思います。そういう方に、JAXAは宇宙に関心があれば多くのことにトライできる職場であることをお伝えしたいです。宇宙開発の長い歴史を持ちますので、多くの分野で支えてくれる人、一緒に考えてくれる方々がたくさんいる組織ですから、やりたいことを創造していけます。
仮に宇宙分野の専門の勉強をしていなくても、宇宙が好きで挑戦したいという気持ちがある方は、ぜひコンタクトをとって頂ければと思います。JAXAは固定的な枠組みで固まった組織ではありません。お互いに切磋琢磨して創っていく組織です。ですから固定観念を捨てていろんなことをやってみたいという気持ちがあればチャレンジ可能です。
追跡ネットワーク技術センターでの経験を通じて、私も色々なことを学んでいきたいと思います。
