勝浦・増田・沖縄宇宙通信所は、実はJAXAの中で最も歴史のある事業所の一つです。勝浦宇宙通信所と沖縄宇宙通信所は昭和43年に、増田宇宙通信所は昭和49年にそれぞれ開所しました。以来、昭和・平成・令和の各時代を通じて日本の宇宙開発を追跡管制の分野で連綿と支えてきました。

宇宙通信所では、人工衛星や探査機などからの電波を受信し、その位置や姿勢、搭載している電子機器が正しく動作しているかどうかを知り、状況に応じて衛星に対するコマンド電波を送信し、衛星を維持管理する役割を担っています。例えば、勝浦宇宙通信所では、JAXAの気候変動観測衛星「GCOM」や陸域観測衛星「だいち」 シリーズを始めとした地球観測衛星からのミッションデータの受信を、増田宇宙通信所では、種子島宇宙センターから打ち上げたロケットからの信号を受信して飛行状態の監視を行っています。

JAXAの宇宙通信所は365日休むことはありません。自然災害によってライフラインが遮断されたとしても宇宙通信所の業務は毎日継続する必要がありますので、例えば、万一の事態に備えてそれぞれの宇宙通信所には専用の非常用発電設備を備えています。このような重要設備の整備も大事な仕事の一つです。宇宙通信所は、電波の送受信を行う施設の特性から丘陵地や離島に立地しています。宇宙通信所のパラボラアンテナの修理やメンテナンスのために宇宙通信所の外部から運搬してきた大型機材を移動するための道路の整備も欠かせない仕事です。このようにJAXAの人工衛星や探査機の追跡管制にとって不可欠な施設である宇宙通信所のロジスティックス・兵站を支えるエッセンシャルワーカーとしての役割も担っています。

また、追跡ネットワーク技術センターでは広報活動の充実にも取り組んでいます。今年度から新たに運用管理課が中心となって追跡ネットワーク技術センターの広報計画を策定し、外部への情報発信にも戦略的に取り組んでいます。この広報計画のもと、勝浦・増田・沖縄宇宙通信所の広報展示施設での「はやぶさ2再突入カプセル分離のパブリックビューイング」や「JAXA宇宙飛行士による講演」のイベントも開催しています。

コロナ禍以前は、宇宙通信所の立地自治体が主催する地元の人気イベントである沖縄県恩納村の「うんなまつり」や千葉県勝浦市の「かつうら魅力市」にも参加し、JAXAと宇宙通信所のPRにも取り組んでいました。また、年に1度の施設一般公開では、体験型のイベントを実施し、多くの方にご来場頂いておりました。コロナの感染状況が緩和したら、こうした活動も再開したいと思います。さらにコロナ禍に左右されない広報活動として、デジタル技術を活用した情報発信も推進しています。このインタビューを掲載する新たなホームページの企画や最新のデジタルサイネージ技術を活用した動画コンテンツの整備もその一環です。これから4Kカメラを搭載したドローンによるJAXAパラボラアンテナの空撮動画も順次公開していきます。今まで見たことのないJAXAの映像コンテンツです。ご期待下さい。