勝浦宇宙通信所 (千葉県)音声ガイダンス

01. 地形模型

沖縄宇宙通信所(地形模型)

こんにちは。勝浦宇宙通信所へようこそ

勝浦宇宙通信所は、総敷地面積約5.4万平方メートルで、海抜約180メートルにあり、展示室のある追跡管制棟のほか、4つの大きなパラボラアンテナがあります。主な業務は人工衛星の追跡管制で、パラボラアンテナを使って人工衛星からの電波を受信して衛星の位置や状態を知り、状況に応じて地上から指令電波を送り調整をするなど、衛星を維持管理する役割を果たしています。

地形模型をご覧ください。模型の右側、いちばん大きなパラボラアンテナは、お椀の直径が20メートルある勝浦第4送受信局です。地球周回衛星から月探査機との通信まで幅広い対応が可能です。右奥にあるアンテナは、直径11メートルの勝浦第3受信局です。地球環境変動観測ミッションに対応した受信専用のアンテナで、水循環変動観測衛星「しずく」と気候変動観測衛星「しきさい」が観測した大気・海洋・陸・雪氷といった地球全体の観測データを毎日受信しています。模型中央右寄りにあるアンテナは、直径10メートルの勝浦第1可搬局です。主に中低高度の周回衛星を追跡していて、人工衛星の状態の確認や動作指令を出すために使用されています。最後に、模型左側にあるアンテナは、直径13メートルの勝浦第2可搬局です。現在は休止中ですが、勝浦宇宙通信所に現存する最も古いアンテナで、1977年に完成後、2度の改修を経て今に至ります。これまでに気象衛星ひまわりや超高速インターネット衛星きずななどを追跡管制していました。そして、模型奥の壁面左寄りの山の上にあるのが野々塚コリメーションです。勝浦宇宙通信所から直線距離で約7キロメートルの位置にあり、アンテナの性能確認や試験等に使用されています。

02. パラボラアンテナ鏡面

沖縄第1可搬局・第2可搬局(地形模型)

ここに展示している白い網状の板をご覧ください。これは、勝浦宇宙通信所で実際の運用に使用されていたパラボラアンテナの一部です。1976年から1991年まで、気象衛星ひまわり1号や通信・放送衛星1号などの静止衛星の運用に使用された直径18メートルのパラボラアンテナで、その後1994年に広報用アンテナとして改修され、見学者の皆様が操作体験できるアンテナとして親しまれてきましたが、老朽化のため2011年に撤去され、その一部をここに展示しています。

よく見ると僅かに湾曲していて上下の幅が違うのが分かりますか。このような板面をつなぎ合わせると大きなお椀の形になります。そう、パラボラアンテナのあのお椀です。では、なぜパラボラアンテナはお椀の形をしているのでしょうか。実は、お椀の形をしていることで宇宙から届く電波を一か所に集めることができるのです。遠い宇宙の人工衛星から届く電波は非常に小さいため、できるだけたくさんの電波を集める必要があります。パラボラアンテナは、主反射鏡と呼ばれるお椀の部分で平行にやってきた電波を焦点である副反射鏡に反射して集めています。つまり、パラボラアンテナは、宇宙から届く小さい電波を集めて大きくすることができるのです。

03. 旧追跡管制設備

ロケットテレメータ  受信アンテナ

現在、人工衛星の追跡管制運用は筑波宇宙センターから遠隔で制御・監視をしていますが、2006年まで勝浦宇宙通信所にも運用室があり、様々な運用業務を行っていました。ここに展示している設備は、それまで勝浦宇宙通信所で実際に使用していた追跡管制のための設備です。人工衛星からの電波を受信したり距離を測る装置。人工衛星からのテレメトリ情報を取り出す装置。パラボラアンテナを制御するための空中線管制卓などを展示しています。是非、運用者の気分を体験してみてください。

04. 人工衛星試験モデル

国際宇宙ステーション

ここに展示しているふたつの人工衛星は、当時、地上試験用に製作されたもので、実際に打ち上げられた衛星と同等の寸法・構造に作られています。

向かって右側の大きな人工衛星は、日本初の地球観測衛星で、1987年2月に種子島宇宙センターからN-Ⅱロケット7号機で打ち上げられた海洋観測衛星もも1号の熱モデルと呼ばれるものです。地球周辺の宇宙空間では、太陽光に当たるときはプラス100度以上、反対に太陽光に当たらない時はマイナス150度以上にもなります。そのような過酷な熱環境にも耐えうることを確認するための試験用モデルとして実際に使用されたものをここに展示しています。

向かって左側に展示している、木製の台座の上に設置している人工衛星は、技術試験衛星Ⅲ型きく4号です。システム試験に用いられました。きく4号は、大きな電力を必要とする地球観測衛星などの開発力を高めるために、3軸姿勢制御や太陽電池パドル展開機能の確認、能動式熱制御に関する実験、イオンエンジン装置の動作テストなどを行いました。なお、衛星名が技術試験衛星Ⅲ型なのにきく4号なのは理由があります。同時期に開発中だった技術試験衛星Ⅳ型が1981年2月に先に打ち上げられ、きく3号という愛称がつきました。そのため、その後1982年9月に打ち上げられた技術試験衛星Ⅲ型がきく4号という愛称になりました。

05. パラボラアンテナ

人工衛星模型 人工衛星模型

駐車場に車を停めると目の前に見える、とても大きなパラボラアンテナは、勝浦第4送受信局です。2013年に完成したこのアンテナは、勝浦宇宙通信所で1番新しく、そして1番大きなアンテナで、お椀の直径が20メートルあります。駆動方式は、方位角方向に動くAZ(アジマス)軸と仰角方向に動くEL(エレベーション)軸の2軸方式で、S帯電波の送受信とX帯電波の受信が同時にできます。

勝浦第4送受信局は、コマンド送信及びテレメトリデータの受信、レンジング運用に加え、大容量ミッションデータの受信も可能で、多様な宇宙機運用に対応可能なアンテナです。現在は、主に陸域観測技術衛星だいち2号やジオスペース探査衛星あらせなどを追跡管制しています。

展示室がある追跡管制棟のすぐ横にある小さな高台に建つパラボラアンテナは、勝浦第1可搬局です。お椀の直径が10メートルあるアンテナで、2000年に完成しました。駆動方式は、方位角方向に動くAZ(アジマス)軸と仰角方向に動くEL(エレベーション)軸、そして衛星がアンテナの真上を通過する際に、アンテナの首部分が動くCR-EL(クロスエレベーション)軸の3軸方式で、S帯電波の送受信が可能です。

勝浦第1可搬局は、国内外に設置されているSバンドアンテナで構成されるグランドネットワークのひとつで、同じアンテナが鹿児島県種子島の増田宇宙通信所、沖縄県恩納村の沖縄宇宙通信所、海外ではスペイン、オーストラリア、チリ、スウェーデンの地上局に設置されていて、主に人工衛星の軌道などの状態確認や動作指令を出すために使用されています。