JAXA -宇宙航空研究開発機構-

宇宙航空研究開発機構
追跡ネットワーク技術センター

事業概要

技術開発(4)RABBITについて

暮らしを支える人工衛星を宇宙ゴミから守り持続可能な社会を実現する ~RABBITの取り組み~


私たちの暮らしを支える人工衛星は、日々、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の脅威にさらされています。 私たち追跡ネットワーク技術センターは、「人工衛星を宇宙ゴミから守る取り組み」によって、 宇宙利用を通じた持続可能な社会の実現を目指しています。ここでは、そのうちの1つ、デブリ接近衝突確率に基づくリスク回避支援ツール「RABBIT」をご紹介します。

スペースデブリ(宇宙ゴミ)問題

現在、地球上と同じように宇宙でもゴミ問題が発生しています。スペースデブリは年々増加し、今では、宇宙を飛んでいるもののうち、9割はゴミであり、 私たちの生活を安全で豊かにしている人工衛星はわずか1割にすぎません。


宇宙は9割のゴミと1割の必需品



宇宙ゴミはたとえ小さなものでも超高速のため大きな破壊力を持っています。そのため人工衛星は毎日宇宙ゴミによりをその活動を脅かされています。 100g程度の小物体でも衝突すると人工衛星の故障、 破壊による新たな宇宙ゴミの発生に繋がり、将来的に人類の宇宙活動の妨げになります。 人工衛星のサービスによる豊かな社会、便利な生活を継続させるため、人工衛星の運用現場において、宇宙ゴミ衝突回避は最優先業務となっています。


小さなゴミでも大きな破壊力

RABBITはどんなことができる?

人工衛星運用機関は、米国連合宇宙運用センターからの接近通知により、宇宙ゴミとの衝突リスクを把握します。 しかし、接近通知にはどのような回避が良いかという情報は記載されておらず、自力で回避策を考える必要があります。 宇宙ゴミ回避は、軌道専門家がいない衛星運用機関/社にとって困難な仕事であり、 宇宙ゴミ回避運用まで手が回っていない衛星運用機関/社もあります。 そこで、軌道専門家がいない衛星運用機関/社でも 、迅速かつ安全、適切に宇宙ゴミ回避を実施するために、JAXAが長年の宇宙ゴミ回避運用で得た技術と経験をツール化し 世界に無償で提供することにしました。 それがRABBIT(Risk Avoidance assist tool based on debris collision proBaBIliTy)です。



RABBITは、様々な接近に対して衝突リスクを解析し、赤は危険、青は安全と色分けされた等高線で視覚的に分かりやすく表示します。 この等高線図により、誰でも視覚的に宇宙ゴミとの最適な衝突回避策を短時間で立案できます。


RABBITの計算結果の一例

RABBITのSDGsへの貢献

RABBITにより、スペースデブリ接近回避を必要とする衛星運用機関が宇宙ゴミ回避を安全かつ適切に実施し、 自身の衛星を守りサービスを継続すること、 衝突により発生する宇宙ゴミの増加を防ぎ宇宙環境を保全することで、 宇宙利用を通じた持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。


18番目の目標


SDGsでは目標14に「海の豊かさを守ろう」、目標15に「陸の豊かさも守ろう」が設定されていますが、 森や海や川と同じように宇宙も大切な天然資源です。宇宙を通じた豊かな社会を持続させることも、私たちや次の世代が安心して 暮らしていくために取り組まなければならない課題です。そこで、現状の17の目標ではカバーできていない宇宙という天然資源を 守り、宇宙を通じた豊かな社会を持続させるため、私たち独自の18番目の目標として「宇宙も守ろう」を設定しました。

RABBIT関連リンク

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